不動産を相続した相続人は、必ずしもその不動産を活用できるとは限りません。状況によっては手放した方がむしろ都合がいいという場合もあります。こちらでは、「不動産を相続したが手放したい」という場合の方法や注意点をご紹介します。
相続した不動産の売却理由
①不動産が遠方にあり、活用はもちろん管理自体が困難
空き家や荒れ地をそのまま放置すると、建物の倒壊の恐れがあるだけでなく、近隣の土地に繁茂した草木が伸び、迷惑がかかるなどのリスクがあります。不動産を相続したままにしておくと管理費もかさむため、このような場合は早急に対処しましょう。
②不動産の売却金を相続人で分割
相続財産が自宅のみである場合、複数の相続人で共有して不動産を相続することは不可能ではありません。しかしながら、もしも後に相続人の誰かが不動産を売却したいと思っても、共有している他の相続人の合意を得られなかった場合は、自分の持分しか売却できないことになってしまいます。さらに、いずれ相続人の1人が亡くなると、共有分が細分化されるため、共有者が増え、不動産の扱いはさらに困難になってしまいます。
この場合、不動産を売却して得た現金を相続人で均等に分割すれば、特に大きな問題は生じないでしょう。
③不動産を売却して、相続税の納税資金に充てたい
相続人が相続した財産の内容によっては、相続税の申告・納付が必要になる場合があります。相続税の申告・納付は、原則現金で「相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に収めなければならず、相続財産を不動産等といった現金以外が占める場合は、納税資金を捻出することが困難である場合も少なくありません。このような場合には、相続税申告の期限に間に合うように不動産を売却し、得た資金を相続税の納付に充てることができます。
不動産を相続したらまずは相続登記を!
不動産の所有者だけが、その不動産を売却したり、活用することができます。相続後すぐに売却する予定であっても、被相続人名義の不動産のままでは売却を行うことはできないため、相続したらまずは相続登記を行ってから、不動産を売却する流れになります。
なお、2024年4月1日より相続登記が義務化されたことを受け、「正当な理由なく相続登記を3年間放置すると10万円以下の過料の対象」とされますので、必ず相続登記を行うようにしましょう。
相続した不動産の売却方法
一般的には、不動産のある地域の不動産会社に仲介や買取を依頼します。ただし、都市部や駅近にある不動産であれば、スムーズに交渉が進む場合が多いですが、地方の山間部や、不便で流通性の低い不動産の場合は、断られるケースも少なくありません。いくつかの不動産会社をあたってみることをお勧めします。
売却が困難な不動産の対応方法
不動産会社での買い取りを断られた場合、その不動産の近隣住民や近隣企業が引き取ってくれる場合があります。「駐車場にしたい」「会社の資材置き場にしたい」「家庭菜園用の畑にしたい」等、意外なところにニーズがある場合もあるため、直接訪ねるだけでなく、チラシのポスティングを行うのもよいでしょう。
相続土地国庫帰属制度の検討も視野に
令和5年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」が始まり、国が一定の要件を満たす土地を引き取ってくれるようになりました。不動産会社はもちろん、近隣住民や近隣企業等、相続した不動産の引き取り手が全く見つからないといった場合には、この制度の利用も視野に入れてみましょう。
ただし、相続土地国庫帰属制度を利用するには、まず法務局の審査を受ける必要があります。また、審査手数料として土地1筆につき1万4,000円を納付しなければならないほか、承認された場合には、10年分の土地管理費として相当額の負担金を納付しなければなりません。
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